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キャプション by Hyatt なんば 大阪
誰もが自分らしく過ごし
ホテルが地域のコミュニティとなる
「自分らしく、暮らすように旅を楽しむ」をコンセプトにライフスタイルホテル「GRIDS(グリッズ)」も展開するサンケイビルは、グローバルに展開するホテルグループ、ハイアットのセレクトサービスカテゴリーの新ブランド「キャプション」に着目。ハイアットの関連会社を通じてフランチャイズ契約を結び、世界3例目、日本初となる「キャプション by Hyatt なんば 大阪」の開発に取り組んだ。営業の主担当を任されたのは当時入社4年目の若手、安田圭佑だった。
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資産開発一部
安田 圭佑
2019年入社
都市生活学部 卒業
PROFILE
育った街が再開発で生まれ変わるのを見て地域の活性化に貢献できる開発事業に興味を持ち、多様なアセットを手がけるサンケイビルを選んだ。入社当初は事業用地の仕入れを担当、その後物流事業の開発推進を担い、入社4年目にホテル事業を経験したいと手を挙げて異動。「キャプション by Hyatt なんば 大阪」の開発推進に臨んだ。
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初めて担当するホテル事業は
日本初の案件。やりきれるのか?
まちづくりに関心を持ち都市デザインを学んだ安田は、希望通りデベロッパーの一員として社会人の道を歩み始めた。初期の配属で事業用地の取得や物流事業の開発推進を担った後、入社4年目にホテル事業の開発推進を志望して異動。初めて担当するプロジェクトは、ハイアットのキャプションと呼ばれる新たなホテルブランドの日本上陸第1号の開発推進だった。安田は営業のメイン担当で、その任務は、設計会社、インテリアデザイン会社、施工会社、ホテル運営会社、そしてパートナーシップを組むハイアットなど、プロジェクト関係者との情報連携を行いながら、プロジェクトを投資予算内で、スケジュール通りに仕上げることだった。「やってみたい」と思ったホテル事業だが予備知識はない。さらに、メジャーブランドのハイアット自身が新たに展開するホテルであり、まだ世界に2例しかない。荷の重さを感じないではなかったが、自ら志望した部署で怯んでいるわけにもいかなかった。先輩に教わりながらとにかく前に進むしかないと覚悟を決めた。
この会社にいたからこそ
巡り会えたチャンス
そもそもホテルにはフルサービスとセレクトサービスの2タイプがある。フルサービスは滞在客が求めるあらゆるサービスを提供するもので、レストランやバー、宴会場などの施設を備え、ルームサービスも充実している。一方セレクトサービスは多様化した滞在客のニーズに合わせ、必要なサービスや施設をセレクトして組み合わせたホテルだ。その中でも「キャプション」は「集う人によって創られる、人を主役にしたホテル」を謳い、ホテルがコミュニティそのものになるようなホテルを目指している。ロビーの代わりに「トークショップ」と呼ばれる空間がつくられ、そこは滞在客以外の人も利用する地元に開かれたイベントスペースになる。
安田はこのホテルのユニークさに惹かれ、しかもサンケイビルが担おうとしていることに魅力を感じた。「日本初にこだわろう!」と経営陣自身がチャレンジする証しがここにあるのだ。この会社にいなかったら、ハイアットの新しいホテルブランドを日本で初めて担当する1人になることはなかったはずだ。
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客室のアートのデザインは
自ら考えて提案
安田の主な任務は着工後に浮上するさまざまな調整事項への対応だった。プロジェクトを代表して行うハイアット側への報告や承認の取り付けもある。日本初出店のブランドで前例が無いからこそ、特にデザイン面で詳細の確認が必要になった。ハイアットの担当者は、日本語は通じたが海外在住であることから連絡手段はメールが基本だ。「長文のメールを日々書き続けました」と安田。いかに漏れがなくかつ分かりやすい文章にするか、メールを読めば追加の質問も必要なく判断が下せるように配慮したという。
安田は客室のアートも担当した。メインはインテリアデザイン会社の仕事だが、客室のヘッドボードと洗面室の壁面アートの方向性は、宿泊客にとって最も重要なアイキャッチとなるため、話し合いを重ねた。「コミュニティを創出するホテルだからこそ、“なんば”らしいポップでローカリティあふれるアートにしたいと思っていました。フジサンケイグループである彫刻の森芸術文化財団にお声掛けしたところ、ホテル近隣の日本橋電気街のシャッターに描かれたグラフィティをイメージさせるアートのご提案がありました。洗面室の壁面アートは、『なんでやねん』を宿泊客に「言葉のお土産」として大阪独自の文化を持ち帰っていただきたい想いを込め、ローマ字で描くのはどうかと提案して採用してもらいました」
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丁寧なコミュニケーションを
次のホテル開発推進に活かす
2024年6月、世界で3例目となる「キャプション by Hyatt」が開業した。トークショップでは地元とコラボしたグルメや体験イベントが連日開かれ、宿泊客だけでなく地元の方やたまたま通りがかる方も交えて盛り上がっている。千日前道具屋筋商店街の店主に学ぶ包丁ワークショップを開催した翌日には、商店街を訪ねて包丁を買い求める方が多かったという。宿泊客、街を歩く方、地元の方という3者の、かつてなかったコミュニケーションがトークショップを舞台に生まれている。安田は新しいセレクトサービスホテルの可能性を強く感じていた。
開業セレモニーに駆けつけたハイアットの担当者は安田を見つけて歩み寄り、こう話した。「いつも丁寧なメールをもらい、キャプションに対する強いこだわりを感じていました。安田さんが担当でいてくれて本当によかった」と。
今、安田は次のホテルリゾート開発のプロジェクトを担当している。丁寧なコミュニケーションを武器に、事業規模はキャプションの何倍もあり、事業期間も長期にわたるというホテル事業に立ち向かっていく。
(2024年11月インタビュー)