Project 03

曽根崎データセンター

未知のアセット
“データセンター”への挑戦

サーバやネットワーク機器を保管・運用する専用の建物であるデータセンター(DC)。企業のDXが加速する中、市場は急拡大している。しかし、従来のオフィスビルやマンションなどとは大きく性格を異にすることから、デベロッパーの取り組みはまだ少ない。その中でサンケイビルが大阪・東梅田で手がけたDCは、“挑戦し、変化し続ける集団”を目指すサンケイビルらしい先駆的なプロジェクトになった。先頭に立ったのは入社間もない北田裕一である。

関西開発部 チーフ

北田 裕一

2021年入社
経済学部 卒業
キャリア採用

PROFILE

2021年1月に鉄道系不動産会社から転職。社会人7年目をサンケイビルでスタートさせた。前職では一貫して分譲マンションに関わり、当初1年は販売、その後は用地取得・企画に従事。仕事は楽しかったが、分譲マンションだけでなく多種多様なアセットを扱いながら成長していきたいと考えサンケイビルに転職した。

すべてのアセットを扱い
街づくりに貢献したいと思った

大手や準大手などデベロッパーは数多くあったが、北田はサンケイビルを選んだ。あらゆるアセットを扱っているのはもちろん、プロジェクトの中心を若手が担い、川上から川下まで関与し続けることが多いと聞いたからだ。ここなら早くから多くのことが学べると思った。
配属は関西開発部。用地取得から企画、設計、施工、売却までを一手に担う。入社3カ月目、上司に呼ばれた北田は「この開発担当としてメインで動いて欲しい」と、ある案件を指示された。同じフジ・メディア・ホールディングスの放送グループに属する関西テレビ放送の所有地の有効活用。「先方に出す提案書をつくってくれ」というものだった。 敷地は梅田から徒歩圏内にあるが、梅田中心部の賑わいからは離れ、大通りからもかなり中に入る。周辺はお寺や中層マンション、古いオフィスビル、ビジネスホテルなどが混在しており、この土地を有効活用する最適な提案はオフィスか、住宅か、ホテルか。北田は答えを探しあぐねた。

調べれば調べるほど
データセンターが有力だった

この土地にふさわしいアセットは何か。悩む北田の背中に向かって声をかけたのは上司の清水だった。「データセンターがおもしろいと思わないか」「データセンター?」「そう。隣の約150坪の土地も関テレさんのものだから、ここと併せれば敷地は700坪近くになる。容積率を考えると延べ床面積にして4500坪程度取れるはずだ。この規模があればデータセンターはいける」。ここにDC? 北田はピンとこなかった。すぐに自席のパソコンに向かい情報を集めた。「なるほど」……調べれば調べるほどDCの可能性を感じた。DXが進み各社の社内システムは大規模化する一方であり、またデータ活用が進むなかで、セキュアなデータ管理は必須になっている。実際、市場規模は2020年で約1.5兆円だったが2026年には2倍の3兆円を大きく超えると予想されていた。さらに調べていくと東梅田という場所がDCにうってつけだとわかった。DCはサーバの運用や保守担当者が実際に出向くこともあるから遠方では不便だ。しかも東梅田は、メガクラウドやインターネットエクスチェンジとのアクセスポイントがある拠点にも近いことから、高速で安定した接続サービスが提供できる、DCには理想的な場所なのだ。

グループの力を結集して
魅力ある企画を練り上げた

北田は早速提案書を作り始める。しかし分譲マンションならアイデアも出せるが、DCへの知識は浅い。社内に相談するとグループのサンケイビルテクノにDC設計を経験したメンバーがいることがわかり、東京に連絡を取ってこれまでの経緯と共に概要を伝えた。「わかった。任せろ」と頼もしい返事があった。事業スキームの検討についてもこちらもグループのサンケイビル・アセットマネジメントにエキスパートがいた。打ち合わせを重ね、共同事業として透明性を確保できる特別目的会社(SPC)を使った事業方式を選択することにした。関西テレビ放送とサンケイビルが共同で出資してSPCを設立、SPCが建物を建設し、一棟すべてテナントに貸すことで、安定した賃料収入を得るものだ。このスキームなら関西テレビ放送も単に地代収入を得るだけでなく、出資に応じた相応のリターンを得ることになる。提案書を見て関西テレビも「ぜひやってみたい」と乗り気になってくれた。
いよいよプロジェクトが本格的に稼働、新たに関西技術部から電気設備や建築工事の専門家を加えて体制を強化、北田は引き続き開発のメイン担当として全体をひっぱっていった。

サンケイビルだから実現した
プロジェクトだった

東梅田DCは無事着工。現在も2026年1月の運用開始を目標に工事が進んでいる。免震設計、最新の高効率空調システム、電源系統の冗長化、72時間以上の連続稼働が可能な非常用発電機など、日本データセンター協会(JDCC)が定めるティア4に準拠した最新鋭DCとして注目度は高い。テナントもすぐに決まった。社内の関心も高く、北田の下には今もDCに関して多くの問合せがある。
「入社3カ月目でDC開発の仕事を担当できるとは思っていませんでした。SPCのスキームも学ぶことができましたし、ここがわからないと聞けば、さまざまな分野のプロフェッショナルが丁寧に教えてくれました。関西技術部の知見はもちろん、グループ会社(サンケイビルテクノ、サンケイビル・アセットマネジメント)の設計やアセットマネジメントに関する経験値や実績など、グループとして総力戦を挑んで、見事にDCという新規分野が開拓できたと思います。私自身も何年分もの学びと成長が得られました」
さまざまなアセットの開発事例、可能性を知るからこそ、その土地が持つポテンシャルを引き出し、街の新たな可能性を示すことができる。サンケイビルというチャレンジングなフィールドを味方に、北田は逞しく歩み続ける。

(2023年11月インタビュー)

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